婁正綱(ろうせいこう・ロウセイコウ) Lou Zhenggang

Exhibitions

「生昇:婁正綱展」 2020年11月21日―2021年1月16日

2020年11月21日―2021年1月16日、ホワイトストーンギャラリー(香港)では、婁正綱の最新の抽象芸術作品シリーズを展示する「生昇:婁正綱展」を開催します。

婁正綱は、伝統的な紙と墨の組み合わせから、キャンバス、油彩、アクリル顔料など多くのマテリアルの使用に至るまで、中国の伝統的な水墨芸術、日本の具体派、欧米の抽象表現主義絵画を研究し手本としてします。

女史は書から独立し、言葉や符号で表す絵画から脱却し、抽象的な風景を心象表現に変え、独自の創作理念と表現技法を築き上げました。

婁正綱の絵画は、無意識な筆のタッチや顔料を思いのままに揮毫し完成されたものではなく、常に意識的と潜在意識とのバランスを取ろうと努めています。

そして自由な表現と主観的な構図の間でのバランスを図り、ピエト・モンドリアン(Piet Cornelies Mondrian)のような構図と視覚の調和がとれたバランスを追求しています。

婁正綱の絵のコンセプトのベースとなるものは確かに東洋的な色彩を帯びています。しかし、創作のスタイルと手法においては、明らかに異なるアートスタイルの神髄を融合させ、纯粋な精神的体験と視覚的な快感をもって、瞬間的な心象風景を創り出すものと感じられます。融合こそ婁正綱作品の一大特色であり、国境を越えて、人種を超越し、地域を超越し、性別を超越し、人類の共通の美的体験を追求し、婁正綱はこうして敢えて古い自己を捨て、一途に新しいことを探求し、実践し、時には新しい驚きを我々に与えてくれます。

近年、女史は日本で風光明媚な伊豆半島の海、空、その他の自然環境に魅せられ、風土や歴史に敏感に反応し、特に自分の人生経験や思い出と重ねていくことでこれまでと全く異なる作品を描くことができたのです。女史は、水や風で気まぐれに形成された自然現象を、自分の作品に取り込み、時には静寂さ、時には激しく吹き飛ぶ様子を描いています。雲と水は自然界で最も一般的な物質であり、人間は、雲や水で形成された自然風景に対して、「原始的」と「普遍的」という感情的な反応を持っています。 婁正綱にしてみれば、人生は水のように、平らな鏡の如くなだらかに流れる水であれ、浪しぶきが上がり、山河を呑み込むが如く勢いよく流れる水であれ、結局はどれも廻り巡り、川の流れの如く止まりません。

「生昇」は2008年香港で行われた抽象芸術作品と大規模なインスタレーション作品によるコラボシリーズを展示して以来、2回目の香港での個展です。十二年とは、中国の天干地支紀年法でいうと地支の初の輪廻の年に当たります。婁正綱は12年ぶりに新しい作品を携えて再び香港へ、そこでアーティストの絶え間ない創造力と素晴らしい表現力を見事に見せてくれます。「生昇」で展示される20点の作品は、婁正綱の目に映る大海原と空だけでなく、自然や天、地、人に対する女史の奥深い考察と態度を現しています。女史が描く雲と水は、自然という主体からグラフィックオブジェクトという客体に転換され、鏡像から心像への転換を実現したものであります。そして含蓄、虚像、瞑想、悟達の芸術的美学が作品に含まれており、観客もこれらと共鳴し共感することができるかもしれません。

婁正綱の略歴
1966年、中国黒龍江省で生まれ、幼少の頃から書道や絵画を学び、70-80年代に中国の書画界で名を揚げる。1986年渡日、海外に滞在、長期にわたり国際芸術の舞台で活躍している。女史の作品は国内外の多くの著名な美術館やコレクターに収蔵される。数十年の芸術活動と深い芸術的素養により、伝統的な水墨の世界を自由自在に応用し、水墨以外のマテリアルや絵の具の応用に豊富な経験と優れたコントロール力を持つ。女史は、芸術を追求する道のりでは絶えず自我を超越し、深い創造力、独特な美学、深い人文的素養をもって、「東方旋律」、「生命と愛」、「日月同輝」、「心」、「和合」、「生生」、「自然」、「生昇」などのシリーズを創作。女史の作品は、広大なビジョンをもち、宇宙や自然を想起させ、愛を創作のインスピレーションに、生命と人生など様々な人間のテーマに関する思考を伝えている。婁正綱の作品は一見伝統的な水墨の世界のようだが、現代アートの強いコンセプトを示しており、抽象的な表現は人間と自然への愛情を深く秘めるものである。

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